クールな御曹司にさらわれました
食後身支度が整うと、御台寺さんに促されお屋敷を出た。
出たと言っても、私が出たのは正式な玄関じゃなかったのかもしれない。日本庭園を横目に歩き、ようやく門をくぐって道路に出ると、昨夜は暗くてよく見えなかった屋敷の全景が目に飛び込んできた。

「なにこれ、テーマパーク?」

「いえ、羽前邸ですよ」

真面目に返す御台寺さん。いえいえ、これはテーマパークか老舗ホテルかって感じですよ。
とにかくでかい。大正ロマンを感じさせそうな家屋と、広々とした庭。重厚で大きなお屋敷の佇まいに私は眩暈を覚えた。これが個人の邸宅?

「ちなみに都内ですよね」

「ええ、最寄り駅は山手線の目白駅です」

「都内にこんな大きな土地……大きなお屋敷」

「真中さんがお過ごしになるのは、尊社長の私邸部分です。羽前邸の三分の一にあたりまして、棟続きではございますが、お父上の羽前会長と奥様とお会いすることはほとんどないかと思いますよ」

なるほど、さっきの玄関は尊さんとその仲間たちのための玄関ね。
っていうか、家族での家の分け方のスケールが違う。玄関や門まで分けるんかい。

父のせいで、とんでもない連中を敵に回したと今更ながらに気づく。
控えめに言って地獄だ、地獄。
< 20 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop