クールな御曹司にさらわれました
目白の駅までは歩いて7分。そこからJRとメトロを乗り継ぎ、日本橋の会社まで向かう。
駅さえわかれば大丈夫と断ったけれど、御台寺さんはきっちりついてくる。
逃走防止なのかな。

まあ、立場的に逃げられちゃ困るよね。父親が逃げるなら娘も危ないと思われても仕方ない。
んん?ってことはまさか送り迎えは毎日?

「ご安心ください。お送りするのは今日だけです。もちろん、真中さんの希望があれば、毎日私が送り迎えいたしますけど」

心の中がばれていたかと思うような言葉に私は焦り、首を左右に振った。

「大丈夫です。逃げません。ひとりで大丈夫です」

都心部の通勤電車は殺人的だ。満員電車の中でも御台寺さんは涼しげに見えた。美人だからかな。美人は汗かかないもんな。あ、イメージね。

尊さんの秘書だそうだけど、こんなことまでやらされるなんて大変なことだ。私だったら、あんなボス絶対嫌。
……現時点、ボスというか借金取りなんですけどね。

「真中さん、昨夜は驚かれたでしょう」

わずかに電車に隙間が空き、呼吸がしやくすくなったところで御台寺さんが声をかけてきた。
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