クールな御曹司にさらわれました
「尊社長から連れてきて話をするとは伺ってますけど、まさか拉致してくるとは思いませんでした」

「あの、さらっと言ってますけど、拉致ですよ。おかしいですよね」

「はい、おかしいですけど、尊社長ならやりかねないので」

当然のように笑顔で答える御台寺さん。ええ?なにその受け入れ方。もしや、社員みんなこんな感じだったりして……。あのヤバイ男の流儀にみんな慣れてるってこと?

「真中さんのご事情は、調べた私が一番知っていますよ。本当にご苦労されてらっしゃって、胸が痛みました。でも、残念ですが尊社長が『こう』と決めてしまった以上、どうにもできないのです。逃げるのは無理とお考え下さい」

「そんな……」

「羽前尊社長は、ただの御曹司ではありません。シアトルのT大学のカレッジで経営学の博士号をとり、論文は学生でありながら、専門誌の常連でした。今率いているレオネットは在学中に起業し、畑違いのシステムまで自ら構築されました。とにかく集中すると一直線な方です。執念深いといいますか、納得するまでやり抜くその一点に関しては天才的です。……まあ、人間的にはちょいちょい抜けていますが」

御台寺さんは一回言葉を切り、私をじっと見つめた。なんだか熱っぽい視線。
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