クールな御曹司にさらわれました
「真中さんは一刻も早くお父様を見つけることに尽力すべきと思います。尊社長は本当に嫁入りまで段取りしていますので、真中さんが元の生活に戻るためには、なによりお父様です。私も精一杯サポートしますので」

真摯な情熱を秘めた目で御台寺さんが私を射る。電車の中じゃなければ、手を固く握られていたかもしれない。
あれ?敵だと勝手に解釈していたけれど、このお姉さんすんごくいい人だぞ?
だめだめ、そんなに簡単に信用するもんじゃない。

「ありがとうございます。そうですよね、尊さん……かなり強引な人みたいですし、私がつべこべ言っても納得してくれなさそう。それなら、元凶の父を探し出して突き出します。そして、私は逃げます」

「ところで真中さん」

御台寺さんが不意に言う。

「妙さんって呼んでもいいかしら?」

仲良くしましょうってことかな?この人はどうやら悪い人じゃなさそう。というか、結構心配してくれてるみたい。
尊さんには逆らわなさそうだけど、彼がめちゃくちゃな人だってことは認識してる。何より、同性だ。きっと、尊さんよりはずっと意志の疎通ができるはず!

私はコクコクと頷いた。

「ええ。どうぞ」

「ふふ、よかった。私のことはサラと呼んでくださいね」

昨夜からパニック状態だし、正直まだ納得はしていないけれど、よくしてくれる人はこうしている。
元気だせ、私。考えてみたら、こんな風に巻き込まれるのは今に始まったことじゃない。
今回はゴールがはっきりしている。父をとっつかまえればコンプリートだ。とっとと引き渡して自由の身に戻ろう。
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