クールな御曹司にさらわれました
なるほど、一理ある。
でもそれじゃあ私はほぼ着の身着のまま拉致軟禁じゃない。
ひとまず何を持っていけるのか確認のためあげてみる。

「スマホの充電器」

「よし」

「コンタクト」

「おまえ、裸眼じゃないのか?」

「はい、仕事の時だけメガネかコンタクトです。今日はメガネでやりました」

「じゃ、当分はメガネにしろ。コンタクトは置いて行け」

結構、判定が厳しい。っていうか、すでに面倒くさいんだけど。

「化粧品」

「化粧水だけ許可する。あとは、新しいのを買ってやる」

「まくら」

「駄目に決まってるだろ。頭悪いのか」

うう、慣れ親しんだまくらは却下かぁ。拉致軟禁のおともに……無理かぁ。

「お母さんの写真」

「それは……飾ってあるのはやめておけ。でも、アルバムか何かから剥がして一枚持っていくのは許可する」

ようやく許可が出た。私は少ない荷物をまとめ、アルバムをずるずると引っ張り出してくる。
開くと、尊さんが覗き込んできた。
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