クールな御曹司にさらわれました
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四月後半、私の生活は格段に忙しくなった。
朝目覚めると、毎朝、尊さんと朝食。早速の苦行であることは言うまでもない。
何しろ、目の前にいるのは悪魔的冷徹御曹司!
朝からびしっと仕立てのいいスーツで決めたこの男は、寡黙&無表情に食事をする。
私が「うま!」とか「あのお替わりをもらえますか?」などなど朝から上質な朝食(和食洋食ともに用意されているからすごい)を楽しんでいるところを、異星人でも見るかのような瞳で見ている。
うう、がっついてるつもりはないんだけど、羽前家のごはんが美味しすぎるんだもん……。
きっと、この男、『貧乏人め』とか思ってるんだろうなぁ。
はいそうです、貧乏人です!
そんな非常に気づまりな時間を過ごした後は出勤。
相も変わらず、上司はやたらめったら目の敵にしてくる。
いびられつつも、めげずに仕事をこなし、小森や他の同僚とわずかに笑い合う時間もとれたかと思うと、退勤後にはすぐさま父の捜索にかかる。
捜索と言っても、手掛かりは私だってゼロだ。
馴染みの店や、立ち寄りそうな場所を回って父を探すくらいしかできない。
こんなこと、羽前家の調査員がとっくにやってるような気もするんだけどなぁ。