クールな御曹司にさらわれました
「ビジネスイングリッシュで覚えてもらうからな」

「日常会話程度にしておいてください」

「おまえに選択の権利はない。夫の仕事の愚痴くらい聞いて的確に返してやるのは妻の務めだ」

「めんどくさ」

きちんと聞かれていた文句に、尊さんが顔をしかめる。拳骨くらい振ってきそうで、とっさに頭を隠した私を、尊さんが馬鹿にしたように見下ろした。

「おまえに選択権はないと何度も言っているぞ、タマ。耳が悪いのか、頭が悪いのか、性格が悪いのか」

「うう」

「家畜には強要は教えん。無駄だからな。しかし、鳥が良く鳴くよう尽くすのは飼い主の役目だ。おまえは高く売れるよう鳥としての役目を果たせ」

なんつう物言いだろう。
言われっぱなしで、だんだん腹が立ってくる。長い物に巻かれまくってきた私にも、現在の事態はまっっったく楽しくない!!
誰が鳥だ、誰が!スズメだって、チュンチュン可愛く鳴いてると思ったら威嚇してたなんてこともあるんだぞ!!私だって、言いたいこと言ってやるもん。

「尊さん、私ね、まだ全然この運命に納得できてないわけですよ!父がしたことは悪いとは思ってますし、全力で探してますけど、あなたにここまで人権無視なこと言われる筋合いもないんじゃないでしょーか!?」

いっきにまくしたてると、尊さんが顔をしかめた。

「良き、日本人妻は喧々諤々と物を言わないものだ。慎みを持て」

「そうじゃなくてですねぇ!!」

「文句があるなら、明日にでも父親を引き渡せ。さすれば、おまえは自由だ」

くう、正論。私は椅子から浮かせかけた腰を戻す。駄目だ、まだ圧倒的に立場が弱い。



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