クールな御曹司にさらわれました
食後の授業は勉強用に一室設けてもらって行われる。
ミーティングスペースにありそうな丸テーブルに向かい合って座る私と尊さん。本当に私にこんな労力をかける必要ないんですけど。勘弁してくださーい。

本日の講師・羽前尊社長のご講義が専門の参考書を開いて始まる。

英語なんて大学の授業選択でちらっと勉強しただけ。ほとんどの記憶は高校で止まっている。
そんな私がビジネスイングリッシュ?
約二ヶ月で?この人、本気かしら。
流暢な発音で参考書の例文を読む尊さんを見つめ、そんなことを思う。

一昨日のレッスンは日本舞踊で、それも彼が講師だったわけだけれど、びっくりするほど美しかった。
私の頭の中では日本舞踊って女性がやるものだと思っていたわけで、男性がこれほどまでに美しく且つ勇壮に踊れるものだとは思わなかった。

素人目に見ても、英語も日本舞踊も確かに教えられるレベルだと思う。さらに海外のなんたら大学を出ていて、社長で、御曹司で。
どこまでハイスペックなんだろう、この人。
もしも、出会い方が違ったら、私も憧れてしまったかも。

と思いつつ、即座に首を振る。

ないわー。無理無理。
並べあげる条件は確かにベリーグッドなガイだけど、この人、性格がわけわかんないもん。
いきなり借金のカタに誘拐するし、巧妙なプランで脅してくるし。そんな人に憧れるわけがない。中身が残念なんだ、この御曹司。あと、顔怖いし。
< 42 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop