クールな御曹司にさらわれました
一番の難関は着物の着付けだった。
華道でも茶道でも、日本舞踊でも着物は必須で、まず最初にみっちり尊さんに教えてもらったんだけど、まったく上手に着られないのだ。
一応、手順はメモしたし、空いた時間に着付けの動画なんかを見て勉強はしている。だから、順序なんかはわかるんだけど、まったく格好がつかないのだ。
ぐっちゃぐちゃに着こなしたお着物を見て、尊さんには何度もため息をつかれた。

また、着物には種類が多く、TPOや作法も合わせると目が回りそうになる。
結局、お稽古の時はまずお手伝いさんの中で着付けができる何人かが私にお着物を着せてくれるところからスタートするのだった。

そんなわけで、私少々忙しくて疲れております。

何にも進んでないし、何にもできない自分に嫌気もさしております。
毎日本気で逃げ出すことも考えるけれど、あの悪辣御曹司が私を逃がしてくれるかというと無理なのはわかってる。うん、わかってるっつうの。

今までの人生も割とハードモードだった。
だけど、今が一番しんどいかもしんない。

あー、疲れたー。
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