クールな御曹司にさらわれました
定時後、車田課長に見つからないうちにささっと帰路についた。
これで、遅刻でもした日には尊さんに怒られるなんてもんじゃないだろう。幸い課長は来客中で、定時頃に仕事を頼まれるといういつもの流れは回避できた。
羽前邸に戻り、与えられている私室に入って驚く。
ベッドには桃色の地に蝶の舞う柄の訪問着のセットが置かれてあるではないか。
もしかして、このお着物を着てこいってこと?
私は廊下に飛び出し、いつも着付けを手伝ってくれているお手伝いさんを探す。えーと、佐久子さんか良枝さん……どこ?どこだ?
尊さんのダイニングで仕事をしていた佐久子さんを見つけ、端的に事情を説明すると無情なる答えが返ってきた。
「今日はお手伝いを禁止されております」
「え?」
「真中様にひとりでお召し替えさせるよう、尊様に申しつかっております。申し訳ございません」
五十代と思しきベテラン使用人・佐久子さんは、本当に申し訳なさそうに深々と頭を下げる。
そうか、今日のお出かけはマナー講習だけではない。着付けのテストだったわけだ。
このお屋敷の中なら、多少妙な格好になっても気にならないし、直してくれる人間はいる。でも、外出となったら別だ。
尊さんは、自力でまともに着付けができるかテストしたいのだ。
出来なかったら、格好悪く待ち合わせ場所に向かうことになる。
あんにゃろー。なんて根性曲がりなんだ。私に恥をかかせてやろうなんて。
私が綺麗に着付けできれば問題ないんだろうけどさ!!
これで、遅刻でもした日には尊さんに怒られるなんてもんじゃないだろう。幸い課長は来客中で、定時頃に仕事を頼まれるといういつもの流れは回避できた。
羽前邸に戻り、与えられている私室に入って驚く。
ベッドには桃色の地に蝶の舞う柄の訪問着のセットが置かれてあるではないか。
もしかして、このお着物を着てこいってこと?
私は廊下に飛び出し、いつも着付けを手伝ってくれているお手伝いさんを探す。えーと、佐久子さんか良枝さん……どこ?どこだ?
尊さんのダイニングで仕事をしていた佐久子さんを見つけ、端的に事情を説明すると無情なる答えが返ってきた。
「今日はお手伝いを禁止されております」
「え?」
「真中様にひとりでお召し替えさせるよう、尊様に申しつかっております。申し訳ございません」
五十代と思しきベテラン使用人・佐久子さんは、本当に申し訳なさそうに深々と頭を下げる。
そうか、今日のお出かけはマナー講習だけではない。着付けのテストだったわけだ。
このお屋敷の中なら、多少妙な格好になっても気にならないし、直してくれる人間はいる。でも、外出となったら別だ。
尊さんは、自力でまともに着付けができるかテストしたいのだ。
出来なかったら、格好悪く待ち合わせ場所に向かうことになる。
あんにゃろー。なんて根性曲がりなんだ。私に恥をかかせてやろうなんて。
私が綺麗に着付けできれば問題ないんだろうけどさ!!