クールな御曹司にさらわれました
「真中さんよね。真中妙さん。尊が今お預かりしてる……」

「……はい」

突然名前を呼ばれて驚いた。お預かりって表現はだいぶ違うと思いますが、概ねそうです。
そんな気持ちで返事をすると、女性がぱっと笑った。

「やっぱり。私は尊の母の真琴です」

「え!?」

思わぬ言葉に変な声が出てしまった。
ええ?お母さんですか?
若くない?綺麗すぎない?
あ、でも綺麗なのは納得か。冷血漢御曹司は顔だけはとんでもなく綺麗だもんな。

「尊が色々と騒ぎ立てて申し訳ないですね。ご不便はありませんか?」

「いえ、不便なんて、そんな」

日用品や食事に関してはアパート住まいの時の100倍くらいいい思いをさせてもらってる。精神的には100倍くらい負担ですが!

「今日は?お出かけ?」

「はい、尊さんにマナー講習を兼ねてお食事に連れて行ってもらうことになってるんです」

答えながら、お母さんはどこまで知っているのだろうと思う。
横領父親捜索の手がかり?
オイルマネーダーリンとの政略結婚の駒?

「仲良しなのね。嬉しいわ」

お母さんがほんわか笑うので、あれ?もしや、何にも知らないの?なんて疑念も浮かぶ。

じゃあ、私がご厄介になっている理由って、表向きどうなってるんだろ。
ともかく、“仲良し”ではないです。
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