クールな御曹司にさらわれました
お母さんは慣れた様子でちゃきちゃきと着付けを進めていく。
その腕の細さ白さに似合わない力強さで中紐を締められ、私はぐえ、と小さく呻いた。

「我が子ながら、面倒な子なんです、尊は。人の気持ちに疎いし、思いこむと一直線だし、下手に成功するから、どんどん増長してしまう」

私は首を振った。
お母様、よくわかってらっしゃる!!と思いながら同調できない身なんだもん。

「いえ、尊さんには窮状を救っていただき、すごく感謝しています」

窮状、を運んできたのもまた、ヤツですがね!!

「いろんなお稽古に付き合ってくださいますし、本当にありがたく思っています」

オイルマネーダーリンに売り飛ばされそうですけどね!!

「尊のお相手感謝します。これからもよろしくね、妙さん」

お母さんは困ったように微笑んだ。

ん?お相手?
やっぱり、お母さん、何か勘違いをしてませんでしょうか?


お母さんに着付けてもらった訪問着はびしっと決まり、さらにお着物用にお化粧直しもしてもらった。
すごい。パーフェクトだ。

レオマーケットグループの総帥夫人の手による私は完全に馬子にも衣装状態。出来がいいのは、お母さんの腕前!!

「楽しんできてね」

何か誤解を残したままの出発だけど、私はお母さんに見送られ加茂さんの車に乗るのだった。

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