クールな御曹司にさらわれました
「おまえは本当にうまそうに食べる。それは実にいいところだ。何を食べさせても皿がピカピカになるまで綺麗に平らげ、美味そうな顔をする」

「え、あ。はい」

だって、美味しいものを仏頂面で食べらんないよね。というか、そんなところ見られてたんだ。

「おまえはできないヤツだが、美点はある。あまり自分を卑下するな」

「いや……卑下したくなるのは尊さんのお言葉の数々のせいなんですけど」

「俺の言葉程度でダメージを受けていては、マヒドの第四夫人は務まらないぞ。先妻三人と渡り歩くのも仕事だからな」

「だから、それは絶対嫌ですってば」

次の椀と私の吸い物が運び直されてくる。
尊さんが首を傾げた。

「タマにとって、最上級に幸せな未来だと思うぞ。マヒドに嫁入りするのは。何しろ、もう金の心配は生涯いらない」

これだからお金持ちは……!そりゃ私もお金大好きですけどね。お金がなきゃ、ごはんは食べらんないし、服も着らんない。でもさ、それって違うでしょ。

「あのですね、貧乏&父親の借金のカタに売られそうな私が言いますけれど、幸せはお金一択じゃないと思うんです」

「ほお、面白いことを言うなぁ、タマの分際で」

尊さんが珍しく口の端をにやりと持ち上げる。ま・負けないっ!

「最低限度のお金は必要だと思います。でも、あればあるほど幸せとは限らないし、心の充実感はお金では買えないです」

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