クールな御曹司にさらわれました
「そこでだ、真中。おまえには特別な仕事を与えよう。この白紙の記録をすべて埋めろ」

私が絶句する。横で小森がため息をついた。面倒事に関わらない主義のくせに見かねたのか口を開く。

「それって大島さんの残したPCのドキュメントとメール、紙の記録から、データを作りなおせってことですよね。真中ひとりで来週までできる量ですか?」

「もちろん、おまえが手伝ってやってもいいんだぞ?できるならな」

小森が詰まった。小森はちょうど、営業に頼まれたマーケティング資料作りがある。売り上げが落ちている地区の新規開拓用のものだ。
定時で帰りたい小森が、毎日必死になってやってもデイリーの仕事とあって、残業になってしまうほど。

課長は、小森に手伝えるわけがないとわかっているのだ。

「真中なら大丈夫だろう。一週間もあるしな」

車田課長は、鼻を鳴らして上から私と小森を見下ろす。
くそう、その厚底ぶっこぬいてやろうか!!

きっと、この人のことだ。自分の責任にならないような逃げ道は考えているんだろう。
最悪、資料ができなかったら、すべての罪を私に被せるくらいはしてきそう。むーかーつーくーっ!!こんなヤツに負けたくないっ!!

「わかりました!!」

私は資料に手を置き、勢いよく立ち上がった。
私がこれほど強く出ると思わなかったのだろう。気圧されたのか、車田課長が三歩くらい後退った。
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