クールな御曹司にさらわれました
尊さんは厳しい目で私を見ている。
確かにそうですよ。うちの会社、営業職はそこそこ忙しいけれど、一般職は通常あまり残業にならない範囲で仕事をしている。以前サービス残業が多すぎて、親会社であるメーカーにこっぴどく怒られたうちの会社。営業に残業代をかけるために、一般職の残業は最低限にしろっていうムードなんだよね。
でも、今回ばかりは定時の17時45分では終わらなかった。お稽古に間に合うようにと20時にはオフィスと飛び出したんだけど……。
「いえ、本当に残業で……すみません。気を付けます」
尊さんは反応を返さずに立ち上がる。食事はとっくに済んでいるみたいだけど……、スーツのジャケットを羽織り、出て行こうとする。
「あれ?もしかして、まだお仕事ですか」
「まあな」
テーブルには尊さんの空の食器と、私がこれから使う予定だった綺麗な食器。んん~?ごはんだけ食べに来たの?
「タマ」
「なんでしょう」
「おまえの華道のセンスが壊滅的なことも聞いているぞ。気合いを入れろ。エサを食べたら急いで行け」
エサってさぁ。なにその言いぐさ。昨日、馬鹿にしてないみたいな言い訳したその口で早速馬鹿にしてくるってどういうことよ。その後ろ姿を蹴っ飛ばしてやりたいわ。
「尊様、妙さんと召し上がろうと戻ってらしたみたいですよ」
尊さんが去っていくのを眺めていると、横からお手伝いの佐久子さんが言った。私は思い切り変な顔をしてしまう。
は?昨日も一緒に懐石料理食べたし、今朝も一緒に食べましたけど?
「なんで?……でしょう」
「尊様、妙さんがいらっしゃる前はいつもおひとりでお食事されてましたから」
それってどういう……ってお夕飯食べる時間が本当にない!お稽古スタートまで10分を切っていた。
確かにそうですよ。うちの会社、営業職はそこそこ忙しいけれど、一般職は通常あまり残業にならない範囲で仕事をしている。以前サービス残業が多すぎて、親会社であるメーカーにこっぴどく怒られたうちの会社。営業に残業代をかけるために、一般職の残業は最低限にしろっていうムードなんだよね。
でも、今回ばかりは定時の17時45分では終わらなかった。お稽古に間に合うようにと20時にはオフィスと飛び出したんだけど……。
「いえ、本当に残業で……すみません。気を付けます」
尊さんは反応を返さずに立ち上がる。食事はとっくに済んでいるみたいだけど……、スーツのジャケットを羽織り、出て行こうとする。
「あれ?もしかして、まだお仕事ですか」
「まあな」
テーブルには尊さんの空の食器と、私がこれから使う予定だった綺麗な食器。んん~?ごはんだけ食べに来たの?
「タマ」
「なんでしょう」
「おまえの華道のセンスが壊滅的なことも聞いているぞ。気合いを入れろ。エサを食べたら急いで行け」
エサってさぁ。なにその言いぐさ。昨日、馬鹿にしてないみたいな言い訳したその口で早速馬鹿にしてくるってどういうことよ。その後ろ姿を蹴っ飛ばしてやりたいわ。
「尊様、妙さんと召し上がろうと戻ってらしたみたいですよ」
尊さんが去っていくのを眺めていると、横からお手伝いの佐久子さんが言った。私は思い切り変な顔をしてしまう。
は?昨日も一緒に懐石料理食べたし、今朝も一緒に食べましたけど?
「なんで?……でしょう」
「尊様、妙さんがいらっしゃる前はいつもおひとりでお食事されてましたから」
それってどういう……ってお夕飯食べる時間が本当にない!お稽古スタートまで10分を切っていた。