クールな御曹司にさらわれました
「ぼろは着てても心は錦。母が教えてくれました」

私はふーっと嘆息して言った。

「お金があれば幸せってわけじゃないですよ。そりゃ、お金があれば安心ですけれど」

「そうよね、わかるわ」

サラさんがふふと笑う。細めた目と睫毛の雰囲気が艶やかだ。

「恵まれ過ぎていて、そのあたりが疎いの、尊社長は。だから、妙さんといると新しい発見も多くて楽しいんじゃないかしらね」

「うええ」

「きっと妙さんが思う以上に、尊社長は人間関係経験値不足よ。知らないことも気づかないことも多いの。教えてあげて」

そんなのいい迷惑だ。御曹司の社会勉強はぜひ他所でやってほしい。

しかし、あの尊さんが少々ズレた善意で私を拾ったことはわかったけれど、このまま父を探せずにいるのはまずい気がする。尊さんのお父様の立場的にも。

一番まずいのは私がオイルマネーダーリンに嫁入りってことですけどね!!

サラさんは車で来ていて、ティータイムの後、私を羽前邸まで送ってくれた。尊さんのダイニングに彼はいなくて、お手伝いさんたちが仕事で会食とだけ伝えてくれた。



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