クールな御曹司にさらわれました
「おまえに金の亡者扱いをされるとは心外だからな。どれ、儲け度外視で手伝ってやろう」

私が言葉を返せないでいると、尊さんはさっさとパソコンに向き直ってしまった。

「おまえには他に仕事がある。父親を探し出すことと、良き日本人妻になることだ」

それが一番理不尽で、そこに一番不平の声をあげたいんですけど、きっと聞いてくれないよね、この人……。



尊さんのパワーはすさまじく、あっという間にデータはまとまり、資料の製本まで済んだ。
こうしてみると、やはりひとりで終わる量じゃかったし、尊さんという頭脳キレまくりのパートナーがいなくては間に合わなかっただろう。

尊さんの車で帰宅したのは明け方だった。
よろよろとお屋敷に入り、与えられている部屋の前まで来ると尊さんが言った。

「ギリギリまで寝ろ。あと、今夜空けておけ」

私はまたうえと顔をしかめた。

「また着付けデートですか?」

「着付けはしないし、デートとは図々しい女だな。まあ、カジュアルで大丈夫だ」

私は尊さんの言葉を眠気のあまり、よく考えずに頷いた。出勤時間まで眠ろう。





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