クールな御曹司にさらわれました
「ふん、まあいいんじゃないか」

すでに確認済だったようだ。私は頭を下げてデスクに向かい、出退勤を押すため自分のPCを開いた。

「すごいね、昨日の御曹司が手伝ってくれたの?」

小森がこそっと問うてくる。私も車田課長に見えないように頷いた。

「うん、そう。手伝ってもらうのは癪に障るけど、ありがたかったのも事実」

「その気持ち、御曹司に言った?ちゃんと伝えた方がいいよ。きっと喜ぶから」

喜ぶかな。どうだろ。
そんなことを思いつつ私は達成感を覚えていた。私ひとりの力じゃないけれど、上司の意地悪且つ無責任な仕事の押し付けに対処できたのだ。

ま、御礼は言っておくべきでは……ある。うん、やっぱ御礼しなきゃ。


眠気と疲労と闘い続けながらの仕事だった。幸いにも私が作った資料はお咎めを受けることもなく、無事会議は終了したとのこと。我が社の危機……回避!

定時まであと5分という時刻になると、ここ一週間の蓄積された疲労でさすがに目の前がかすんできた。
基本的に睡眠がたくさん欲しい人間なんです。貧乏人は体力が資本だもん。身体壊してたらお金払って通う学校がもったいない。働くこともできない。だから、体調の維持は昔から気をつけていた。
そのために一番大事なのは欠食しないことと睡眠……眠い~。
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