クールな御曹司にさらわれました
予想通り……そこには羽前尊がいた。
「あの……」
代表して、営業部の加藤部長がそろっと立ち上がる。すると、尊さんはくるりと振り向いた。
「失礼、レオネットセキュリティ代表の羽前と申します。今日は御社の社長とお話で参ったのですが、こちらの部署に旧友がいましてね。立ち寄ってしまいました。お仕事中でしたね」
「いえ、ちょうど定時ですが……レオネットの羽前様……あ」
部長の顔色が変わった。尊さんの差し出した名刺で、彼の素性が分かったのだろう。
レオマートグループの社長が羽前という姓であることは、経営をかじった人間なら誰しも知っているし、そのグループ企業の代表が同じ姓を名乗っていたら近親者であることは疑いもない。
「妙、おいで」
尊さんが私を名前で呼んだ。タマじゃなくて妙、と。壮絶なむず痒さと同時に、背筋が寒くなる。何しにきたのよ、この人。眠気、吹っ飛んだわ~。
一刻も早くこの人を社外に追い出さなければならない。私はPCを落とし、通勤バッグを持って、素早く尊さんに歩み寄る。
「はい、お待たせしました」
「真中くん……お知り合いだったのか」
加藤部長の私への問いかけに、尊さんが答える。
「父親同士が友人でしてね、古くから兄妹のような関係です。今日は夕食の約束をしていたのですが、ちょうどよかったので迎えにきてしまいました」
嘘八百を真顔&感情ゼロで言わないでよ、お兄さん。せめてにこやかに言ってよ。
「あの……」
代表して、営業部の加藤部長がそろっと立ち上がる。すると、尊さんはくるりと振り向いた。
「失礼、レオネットセキュリティ代表の羽前と申します。今日は御社の社長とお話で参ったのですが、こちらの部署に旧友がいましてね。立ち寄ってしまいました。お仕事中でしたね」
「いえ、ちょうど定時ですが……レオネットの羽前様……あ」
部長の顔色が変わった。尊さんの差し出した名刺で、彼の素性が分かったのだろう。
レオマートグループの社長が羽前という姓であることは、経営をかじった人間なら誰しも知っているし、そのグループ企業の代表が同じ姓を名乗っていたら近親者であることは疑いもない。
「妙、おいで」
尊さんが私を名前で呼んだ。タマじゃなくて妙、と。壮絶なむず痒さと同時に、背筋が寒くなる。何しにきたのよ、この人。眠気、吹っ飛んだわ~。
一刻も早くこの人を社外に追い出さなければならない。私はPCを落とし、通勤バッグを持って、素早く尊さんに歩み寄る。
「はい、お待たせしました」
「真中くん……お知り合いだったのか」
加藤部長の私への問いかけに、尊さんが答える。
「父親同士が友人でしてね、古くから兄妹のような関係です。今日は夕食の約束をしていたのですが、ちょうどよかったので迎えにきてしまいました」
嘘八百を真顔&感情ゼロで言わないでよ、お兄さん。せめてにこやかに言ってよ。