クールな御曹司にさらわれました
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頬に当たる日の光、涼やかな空気、普段と違う寝具の感触。
私は翌朝、ゆっくりと覚醒した。
木の天井を見上げ、それから左右を見渡す。身体を起こす。
そこでとろい私はようやく気付く。
「私……どこにいるの?」
私は広々とした和室の中央に布団を引き、そこで眠っていたらしい。
身体を起こし、ひやりとする畳につま先を滑らせる。自分の格好が昨日の通勤服のままであることに気づいた。
障子を開けると、朝の美しい陽光がキラキラと差し込む廊下に出た。
廊下はガラスの引き戸になっていて、縁側のようだ。庭が見えた。羽前邸にある大きな池や築山のある日本庭園とは趣が違い、うっそうと茂る竹林の中、灯籠と庭石で構成され白い砂利がひかれてある。水の気配がないから、これは枯山水というやつだろうか。
陽光が竹の間を縫うように降り注ぎ、竹林がなければ眩しすぎるほどだろう。
「おはよう」
廊下を踏むかすかな音が聞こえ次に聞きなれた声。