ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
第2章 紳士に惑わされて

-1-


ーー次の日、家を訪ねると、やっぱり出てきたのは、蓮見会長と華さんだけで、

「あの…奥様は見えられないんですか?」

と、訊いてみる。

2日も続けて見送りに現れないことが、単純に不思議にも感じて訊いたことだったのに、

「……え」

と、困ったような顔を2人同時にされて、

「あ…ごめんなさい! 立ち入ったことをお聞きしたりして…」

とっさに頭を下げた。


「ああ…悪い。謝らなくていいよ……まだ、言ってなかったかな? 妻は、もういないんだ……」

会長の言葉に、(…いない?)と、さらに疑問がわいて、だけど突っ込んで尋ねていいのかをためらってもいると、

「奥様は、だいぶ前に亡くなられたんですよ」

と、華さんが口をひらいた。

「……えっ」と、言葉に詰まる。


「……もう10年にもなりますよね…」

「…そうだな」

会話を聞きながら、

(そんなに以前に奥様を亡くされていて……?)

「……だって、昨日は結婚してもう17年って……」

つい漏れた呟きに、

「…ああ、生きていたらなってことを、言い忘れたな…」

会長が少し悲しそうにも目を伏せた。



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