ifの奇跡
近づいてきた冬吾が私に気づいて、驚いたように立ち止まった…。

私はその固まってしまった視線を外の冬吾から無理やり店内の美沙たちのいる方向に戻すと、何事もなかったかのようにそのまま歩き出し席に戻った。

きっとすごく不自然な態度だったと思う…。

だけど……どう反応していいのか分からなかったから、不自然でもそうするしかなかった。


「……子!…莉子!」


気づくと斜め前に座っている美沙が私の名前を呼んでいた。


「… あ、ゴメン。どうかした?」

「莉子何だか元気ないし…気分でも悪い?大丈夫?」


ここの席からは、入り口はおろか、外の様子は全く見えない。

皆んなにはさっきの事は知られていないから心配をかけたくなかった。


「大丈夫だよ。まだまだ飲めるから」

「本当に?無理してない?」

「ホントホント!大丈夫だから心配しないで」


無理やり笑顔を作り、グラスに残っていたチューハイを一気に飲んだ。


「…遅れて悪い」


背中からずっと待っていた彼の声が聞こえた。


「おぉ、冬吾お疲れ〜」

「「お先に飲んでるよ〜」」


桂子や美沙も声をかけ、私も空になったグラスを机に置き後ろを振り返った。
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