ifの奇跡
だけど彼の顔を見る事は出来なくて、目線は足元ばかりを彷徨っていた。


「…お疲れ」


ボソッといつも以上に素直になれない可愛げのない私が飛び出した。

なんで私はこうなんだろう。

好きなのに素直になれなくて。

冬吾には可愛くないところばかり見せてしまう…。

このままじゃ、愛想尽かされて離れて行っちゃうかもしれないのに。


「冬吾〜お前が来るの遅くて、莉子ちゃんずぅっーーーと寂しそうだったんだぞ〜」


「!!」


半分出来上がりかけている哲平君がニヤニヤと嬉しそうな顔をして隣に座る冬吾に余計な事を暴露した。


「全然違うから、嘘だから!もう哲平くんも酔って適当な事言わないでよ」

「えぇ〜〜〜莉子ちゃんも素直になりなよ。泣いてたくせに〜」

「泣いてないからっ!!」


まだ言うのか!!この口が〜〜!

余計な事ばかり言うその口を縫い付けてやりたかったけど、美沙の彼氏の口を塞ぐこともできなくて。

察してくれた美沙が私の代わりに塞いでくれた。

口を塞がれた哲平君は苦しそうにフガフガ言ってて、それを見てたら笑ってしまった。

空席になっていた私の正面に座っている冬吾も哲平君を見て笑う。

やっと手を離してもらった哲平君が今度は美沙に仕返しとばかりに脇腹攻撃をしたら「バカ!!」って怒られてシュンって落ち込む姿を見てまたみんなで笑った。
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