ifの奇跡
最上階で降り一番突き当たりの部屋の鍵を開けると、私を先に入れてくれた冬吾。


「お邪魔しまーす…」


私が入った瞬間、玄関に淡いオレンジの光が灯った。


「どうぞ、入って」


緊張している私の横を通り抜け靴を脱いで先に入って行く冬吾を追いかけるように、私も靴を脱いで中に入った。

玄関から縦に伸びた廊下を抜けた正面のドアの向こう側には広い空間が広がっていた。

部屋は間仕切り無しの正方形のワンルームで、丁度ど真ん中に小さな対面キッチンがあった。

部屋のインテリアも白とグレーで統一されていて男の子の部屋って感じがした。

すごくオシャレなワンルーム…広さも20畳ほどありそうだし。

廊下の途中にも2つドアがあったから、そこがトイレと浴室だろうか。


「……ねぇ、冬吾って実はお坊ちゃん?!」


部屋を見ながら口からそんな疑問が飛び出した。


「お坊ちゃんって…久々に聞いたわ。」


冬吾がキッチンの冷蔵庫に買って来た缶ビールやチューハイを入れながら笑っている。


「…だってここ、うちの3倍以上の広さだしめっちゃ高そうなんだもん」

「ここのオーナーはうちの親父だからな…」

「やっぱり、お坊ちゃんなんじゃん」

「お坊ちゃん言うな」

「これから冬吾の事、お坊ちゃまくんって呼ぼうかな?」

「はぁ?それだけは勘弁して」
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