ifの奇跡
「まぁ、でも緊張するよな…俺もしてるから。」


それからリモコンでテレビを消した冬吾は大きく息を吐いた後にもう一度私の名前を呼んだ。


「莉子」

「…ハイ」


「俺、やっぱりお前のことが好きだ。一度はもう無理だから諦めようって思ったけど、諦めるなら告白してバッサリ振られてからにしようと思ったんだ。じゃないと諦めらんないから…だからいつもの莉子みたいにキツイ言葉で俺のこと思いっきり振ってくれないかな。」


…………何…その振られる前提の告白とM発言の上に、私の事酷い女みたいな言い方して。

普通なら嬉しいはずの告白が…何故か素直に喜んでいいのか分からなくなってきた。

それと同時に美沙から聞いた話と、さっきのキスの相手の顔までが頭に浮かんだ。


「嫌……」

「え…?」

「嫌って言ったの!…ていうか、言わせてもらうけど冬吾は私に振ってもらいたいの?私が振ることが前提なんだ。……それでその後はスッキリしてあのキスの人と付き合うんだ…告白の返事、迷ってたんでしょ。」


冬吾が私の言葉に慌て出す。


「ちょ、ちょと待てよ。振られたいわけないだろ。俺だって本当は莉子と恋人になりたいから告白してるんだよ。だけど、お前は俺の事友達以上には思えないんだろ?…それに、さっきのアレはそんなんじゃ無いから…。そんな振られてすぐ誰とも付き合わねぇし、あいつにはちゃんと断ったよ。」

「だったら…振ってくれ…なんて言わないでよ。そ、それに…キス… だってしてたじゃん。」


あの人とのキスシーンを思い出したら、やっぱり嫌な気持ちになってしまって最後は少し拗ねた言い方になってしまった。


「あれは、俺を追ってきたあいつが無理にしてきたの。まぁ確かに避けられなかった俺も悪いんだけどさ。…なぁ、だけどそれってヤキモチ?」

「……………」


冬吾が私の顔を覗きこもうと、顔を斜めにしながら近づいてきた……。

ちょっ…それ以上近づかれたら本当にヤバイ……。

まるでキスする前のような状況にそれ以上は限界で、プイッと顔を冬吾とは反対の方向に背けた。
< 32 / 151 >

この作品をシェア

pagetop