ifの奇跡
「…沈黙してたら肯定の意味に取っちゃうけど…言いの?」


それでも何も言えなかった私に冬吾がもう一度口を開いた。


「莉子、俺…やっぱりもう一回言い直すから、さっきの告白は無効にしてくんない。」


え…?

思わず背けていた顔を戻すと、真剣な目をしている冬吾と目が合って心臓が更に大きくドクンッと脈を打った。


「莉子の事が好きです。俺と付き合ってください。」


今度はシンプルに気持ちを伝えてくれた彼に…私も素直な気持ちを返そうと口を開いた。


「…ハイ。お願いします。」


その数秒後、隣からというか、もうほぼ正面に近い態勢の冬吾がビックリしたような声をあげた。


「えぇーー!?ゴメンっ!もう一回言って今のよく聞こえなかった。」


イヤイヤ……私の返事に驚いてる時点で充分聞こえてんじゃん。

だけど、私も自分の気持ちをちゃんと言葉で伝えるべきだよね。だから…


「…私も冬吾が好き。」


さすがに冬吾の顔は直視できなくて、目線は私と冬吾の触れ合いそうな膝の辺りを彷徨っている。

その時、フワリと冬吾の髪が頬を掠めたと思ったら、次の瞬間には彼の腕に抱きしめられていた。


心臓がドクンドクンと大きな音を立てて跳ねた。


「莉子…今の本当?」


顔は見えないけど、冬吾の声が耳のすぐそばで聞こえる。

私は声を出さない代わりに彼の腕の中で小さく頷いた。

その瞬間、バッ!!と勢いよく冬吾の体が離れると、手だけは両肩に置かれたまま。

そしてすぐ間近から見下ろすように私を見つめている冬吾の熱い視線。
< 33 / 151 >

この作品をシェア

pagetop