ifの奇跡
「莉子…」


今までで一番…キュンときた。

ただ彼に名前を呼ばれただけなのに。

お腹の奥が締め付けられるみたいに痛いくらいにギュンとなった。


「キスしたい… キスしていい?」


まだ何も返事すらしていないのに、彼の顔がどんどんと傾いて近づいてくるのが見えるけど、逃げることなんてできなかった。

目を開けていられなくて…閉じたその直後に冬吾の唇が私の唇に優しく重なった。

チュッ……

一度だけ…優しく触れた冬吾のキスはすぐに離れていった。

そしてまたキスの前と同じように…彼の瞳に見つめられる。

だけど、キスの前と後では何もかもが全て違っていて………

冬吾とキスをした事実が恥ずかしくて目を逸らしそうになったのに、彼がそれを許してくれなかった。


「もっとして…いい?」


そう言うと首の後ろに手を回され、また私の返事も聞かないまま彼に唇を塞がれた。


「…好きだ…」


キスの合間に幾度となく耳に届く彼の告白に、何度も胸が疼いた。

最初は探るように…少し遠慮がちだった冬吾のキスが、徐々に深く激しくなっていく。

いつの間にかソファの上に押し倒される形になっていた。


「…んんっ……」


冬吾の舌が滑り込んできて、もう2人の水音しか聞こえない。

その音が、ひどく2人の興奮を掻き立てていく…。
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