ifの奇跡
素直な気持ちを言葉に出してぶつけてくれた冬吾が愛しすぎて…自分から近づきその唇にキスをした。

チュッと軽く触れ合うだけのキスだったけど…大胆な自分のその行動に少し恥ずかしくなった。

まだ固まっている彼を見上げた時…

体がフワリと一瞬浮かんだと思ったら次の瞬間には、真上から切なそうに見つめる冬吾の熱い瞳と目が合った。

彼の名前を呼んだけど何も言わない彼の顔がだんだんと近づき、視界もおぼろげにもう見えなくなった…。


「トーゴ……んっ…」


見えない代わりに聞こえてくるのは、私の唇を食むような彼のキスの音。

それに私たち2人の荒い息遣いだけだった…。


さっきまで、あんなに緊張してガチガチに固まっていた体も心もいつの間にかその緊張から解き放たれていた。

そこにあるのは、心地いい彼との時間とお互いを求め合うシンプルで純粋な気持ちだけだった。


「莉子…愛してる。」


彼と一つになったその瞬間、彼の声が耳に流れ込んできた。

彼の手が私の頭を優しく包み込みながら、彼に揺らされる律動の中で聞こえてきたその言葉に胸がいっぱいになり涙がこぼれ落ちた。

彼の目が優しい弧を描きながら、彼のキスが私の涙を掬いとった。




ただただ幸せだった…。

ただただ彼といつまでも一緒にいたかった…。




だけど、運命というものは本当に残酷で…彼と私の歯車は初めから重なってはいなかったのかもしれない…。




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