ifの奇跡
あと1ヶ月ちょっとで今年も終わりを迎える頃……

仕事帰りの電車の中で、珍しく姉からの着信が入っていたことに気づいた。

駅に着き電車を降りてから、姉に折り返し電話をかけた。


『もしもし』

「もしもし、お姉ちゃんゴメン。電車の中だったから着信に気付かなくて。ところで珍しくない…何かあったの?」

『莉子…あんたには余計な心配かけたくなかったから、はっきりと分かってから伝えようと思ってたんだけどね…………』


その後も話し続ける姉の声が、私の耳に一方的に流れ込んで来たけど突然の予期していなかった内容に頭が真っ白になった。

一つ一つの単語の意味はわかるのに、それが誰の事を言っているのか分かりたくなかった。


なんで……?


どうしてお母さんなの……?


頭の中で繰り返される言葉に処理が追いつかなくて。

姉との電話をどうやって終わらせたのかも分からないまま

気づいたら家の玄関の前に立っていた。

かじかんだ手で鍵穴に鍵を差し込み、ドアを開けて家の中に入った途端その場に崩れ落ちた。

靴を脱いで立つことすら出来ず小さな子供のように声をあげて泣いていた。

福岡に戻ってからも母の事をずっと気にかけていた姉にお義兄さんが、しばらく実家に帰省しておいでと言ってくれたらしい。

その言葉に甘え2週間前から実家に戻って来ていた姉。
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