ifの奇跡
姉も母とは頻繁に連絡は取っていたものの、実際に会うのは父の四十九日法要以来。

電話の声だけでは気付くことができなかった母の異変。

姉はすぐに大きな病院へと母を連れて行った。

そして母は現在、入院をしている。

地元でも有名な大きな病院に。

今の母と私の距離の遠さに言葉にならない切なさともどかしさを感じた。


そしてもう一つ。姉が実家に戻った後に重大な事実が発覚した。

それは姉のお腹の中に新しい命が宿っているということ。

いつもは予定通りにくる生理の遅れから気づき、今はまだ6週に入ったばかりらしい。


姉の妊娠は、暗い竹中家に舞い込んだただ一つの嬉しいニュースだった。


姉と電話で話をしたその週の金曜日、仕事を定時で終えた私は新幹線に乗り実家へ向かっていた。

冬吾ともこの週末は会うつもりはなかった。

彼も大学の卒論で忙しい時だったから。

だから、彼にも何も言わずに帰って来ていた。


実家に着く頃には、もう夜も遅い時間になっていたから病院の面会時間も既に終わっている。

母のいる病院へは明日行くことにして、とりあえず姉の待つ実家へと急いだ。
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