ifの奇跡
姉と一晩中、これからの事について話しをした。

先日の電話だけでは分からなかった細かな母の病状などについても……。



父ももういない…我が家。

母には身寄りがなく、私たち以外に母が頼れる人なんていなかった。

話を聞けば聞くほど、母をこのまま1人にする事は出来ないと思ったし、そしてそれは、翌日久しぶりに顔を見た母の姿を見てより強い想いになった。

病院のベッドで隣のベッドの患者さんと話をしていた母は笑っていた。


だけどなぜ母はこんなにも強くいられるのだろうか…。

やっぱり母は私たちの前では決して弱音を見せなかった。

自分の体よりも私達の体を心配していた母だった。



日曜日も電車の時間ギリギリまで母の病室で母と一緒に過ごした。

今は身重の姉に母のことを任すしかなく、私は一旦東京に戻って来た……ある決意を胸に秘めて。



翌日、いつもより早く出社をした。

上司である課長に話をしたかったから…。

うちの課長はいつも部下の誰よりも早く出社していたから。

私達の課が入ったフロアでエレベーターを降りると、エレベーター横にある自販機などが置かれた休憩スペースで課長が朝のコーヒーを飲んでいるのが見えた。


「課長、おはようございます。」
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