Spider
……俺。

プライベートではそうなんだ。
そのくせいつも通りの事務的な顔。
なんかやっぱり、気が重い。

「じゃあ、行きましょうか」

「はい」

彼の半歩後ろをついて歩く。

無言。
気まずい。

……あれ?
もしかして気を遣ってくれてる?

歩く早さは私にちょうどいい。

……やっぱり無言、だけど。

駅前の信号を渡って人が増え出すと、彼はちょこちょこ振り返るようになった。

……ちゃんと気にしてくれてるんだ。
そういうのはちょっと、嬉しい。

「なにか食べますか?」

「そうですね」
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