Spider
……あ、でも。
誘ってきたくせに割り勘、だと幻滅するか。

たこ焼きを受け取って、また歩き出す。

その後も結局、彼の払いでラムネと焼きそば、唐揚げを買った。

そのまま適当な場所で座り、それらを食べながら花火が始まるのを待つのかと思ったら。

「いい穴場、知ってるんです。
行ってみませんか?」

「えっと。……はい」

顔をのぞき込まれ。
ついつい、はいと返事をしてしまう。

また人混みを縫いながら、私を気遣って歩く彼について歩いた。
屋台の群を抜け、そのまま会場の海とは反対の方向に歩いていく。

まばらになっていく人たち。

そのうち、まわりには誰もいなくなった。

彼は黙々と斜面を登っていく。

……ちょっと待って。
私、いま、まずい状況になりつつない?
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