行雲流水 花に嵐
 とりあえず竹次を動けなくしてから、宗十郎は再度残りの二人を見た。
 二人とも、命に別状はないようだ。

---殺ったほうがいいかな。でもこいつらの死体が見つかれば、結局俺の仕業だとわかるだろうな---

 宗十郎が竹次を返り討ちにしたことは、しばらく伏せておきたいが、こいつらを殺したところで隠せるとも思えない。
 この二人が竹次の配下だということは、竹次に近い者なら知っているだろう。

---竹次自体が三下だから、そのさらに下なんか、勝次や亀松は知らねぇかもだけどな---

 だが死体が見つかれば亀松一家の者の耳にも入るし、そこからすぐにわかるだろう。

---だったら生かしたまま口を塞いだほうがいいか---

 宗十郎は蹲って呻いている二人に近付いた。
 刀を、一人の男の喉元に突き付ける。

「よぉ、お前らも亀松一家の者か?」

 ぶるぶる震えながら、男は刀に目を落とした。

「い、一家ってほどのものじゃ……。ま、まだ兄ぃについて間もねぇんで……」

「そうかい。そんじゃあお前らは、このまま消えな。今回のこと、下手に喋るんじゃねぇぜ」

 口止めしたところで、上の者に折檻でもされれば簡単に口を割るかもしれないが、まぁ死体を見つけられるよりは時間も稼げるだろう。
 宗十郎が刀を降ろすと、男はよろよろと立ち上がり、足をもつれさせながら去って行った。

「お前もな」

 いまだ蹲って動けないでいる男にも言い、宗十郎は踵を返して、先で転がっている竹次の首根っこを掴んだ。
 そしてそのまま歩き出す。

「ど、どこに連れて行くんでぇ!」

 足を引き摺りながら、竹次が喚く。
 が、宗十郎は無言で歩を進めた。
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