行雲流水 花に嵐
「あすこの見世を潰すのぁ、色町全体の総意さね」
要蔵は、頼まれればこの界隈の揉め事の始末にも手を貸す。
ただ揉め事といっても、単なる話し合いで解決するものには、ここまで話は回ってこない。
要蔵のところにまで来る頼み事は、密かに相手を始末する、という物騒なものだけだ。
故に、そういった暗殺稼業を生業とする者を何人か抱えているのだ。
宗十郎も、その一人である。
「で、今回は上月からの依頼に合わせて、一気に亀屋を潰すってわけか。しかし、馬鹿当主が泣き付いて来たわりにゃ、今あの家に、そんな大金があるとは思えねぇがな」
宗十郎がまだ上月家にいた頃から、そう裕福なわけでもなかった。
飢えるということはなかったが、余裕があったわけでもない。
そこに馬鹿息子の放蕩が加われば、出せる金も知れているだろう。
「それに、総意とはいえそもそもあんたが出張るのもおかしいじゃねぇか。何で親分のことをあの野郎が知ってるんだ?」
「旦那の言う通りだ。どこでどう知ったのか、上月の当主が、わしにそういう話を持ってきた」
要蔵一家がそういう闇稼業を持っているということは、一部の人間しか知らない。
昔からこの地に根付いている地元民だけだ。
昔からずっとここで暮らしている者は、根っこの仲間意識も強い。
新参者も受け入れるが、そういった裏の噂は洩らさないのだ。
「亀屋で会った女子は、実は攫われてきた娘で不憫だから助けてやりたいとね。無論、お断りしたさ。うちは単なる料理屋であって、そんな物騒なことを言われても……とすっとぼけた。けどまぁ、娘が攫われてきたってのが引っかかってね。それに、亀屋の噂はわしも聞いてる。表通りにも出張ってきやがったから、そろそろ手を打とうかと思ってたところだ」
要蔵は、頼まれればこの界隈の揉め事の始末にも手を貸す。
ただ揉め事といっても、単なる話し合いで解決するものには、ここまで話は回ってこない。
要蔵のところにまで来る頼み事は、密かに相手を始末する、という物騒なものだけだ。
故に、そういった暗殺稼業を生業とする者を何人か抱えているのだ。
宗十郎も、その一人である。
「で、今回は上月からの依頼に合わせて、一気に亀屋を潰すってわけか。しかし、馬鹿当主が泣き付いて来たわりにゃ、今あの家に、そんな大金があるとは思えねぇがな」
宗十郎がまだ上月家にいた頃から、そう裕福なわけでもなかった。
飢えるということはなかったが、余裕があったわけでもない。
そこに馬鹿息子の放蕩が加われば、出せる金も知れているだろう。
「それに、総意とはいえそもそもあんたが出張るのもおかしいじゃねぇか。何で親分のことをあの野郎が知ってるんだ?」
「旦那の言う通りだ。どこでどう知ったのか、上月の当主が、わしにそういう話を持ってきた」
要蔵一家がそういう闇稼業を持っているということは、一部の人間しか知らない。
昔からこの地に根付いている地元民だけだ。
昔からずっとここで暮らしている者は、根っこの仲間意識も強い。
新参者も受け入れるが、そういった裏の噂は洩らさないのだ。
「亀屋で会った女子は、実は攫われてきた娘で不憫だから助けてやりたいとね。無論、お断りしたさ。うちは単なる料理屋であって、そんな物騒なことを言われても……とすっとぼけた。けどまぁ、娘が攫われてきたってのが引っかかってね。それに、亀屋の噂はわしも聞いてる。表通りにも出張ってきやがったから、そろそろ手を打とうかと思ってたところだ」