嫌い、嫌い、好き。
「大丈夫だから。すぐに来ると思うよ。だから帰って」
自分でも驚くぐらい低い声が出た。
2人の顔を見ると、2人とも驚いていたようだった。
「わかった。何かあったら電話しろよな」
優しい。優しい。
でも北条のその優しさがあたしにはグサグサと突き刺さるんだよ。
諦めようにも諦められないんだよ。
だから北条を嫌いでいるようにしたんだよ。
北条。北条。
「じゃな、また明日」
嫌い、嫌い、大嫌い。
「うん。バイバイ」
あたしは手を振りながら小さくなっていく背中を見つめていた。