キミノテノヒラノウエ。
私が泣き止むと、薫ちゃんは私の手を掴み、

『製菓学校に入ったら、遊ばず、精進する事。
恋愛は禁止にして、きちんと卒業する事。』

と右手を上げて宣誓させ、

「行くぞ。」と言って歩き出し、私の家に行って両親を説得してくれたのだ。

てまりちゃんの成績は中の下で、
大学に行ったとしても、特別に良い就職が待っているわけではない。
それならば、手に職をつけて、
努力次第で、収入が良くなっていく。と言うのは悪くないと思う。
もし、結婚して、仕事を辞めることになっても
技術を身につけていれば、再就職しやすいだろうし、
母親になったら、美味しい手作りのケーキを作ってあげられるって
幸せな事ではありませんか?

って感じだったと思う。

両親は突然やって来た昔の家庭教師に驚いていたけれど、

私が悩んで薫ちゃんにまで相談していた。と言うことにも驚いて、

シブシブ製菓学校に行くことを許してくれた。って感じかな。




薫ちゃんは『感謝しろよ。』と私の頭をポンポンと撫で、口の端をクイッと上げて微笑んだ。

で、
私は3年過程の製菓学校に入学し、
真面目に勉強をし、技術を身につけ、
滅多にない男の子の誘いも
『恋愛禁止。なの。』とアイドルにように断ったりして

今日に至る。

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