キミノテノヒラノウエ。
チーズケーキ、
チョコレートケーキ、
果物のタルトに、
バターケーキ。
スポンジが上手く焼けるようになると、
物凄く楽しくなって、
私はケーキ作りに没頭した。

薫ちゃんは美味しい時はアタマを撫でてくれ、
美味しくない時は『不味い』と言いながら、
私と一緒にケーキを食べた。



おねーちゃんが大学に入った年に、薫ちゃんは大学を卒業し、
医師免許を取って、希望通りに大学病院に勤める事になった。

薫ちゃんが家庭教師をやめる頃、
「高校を卒業するまで、勉強を見てやるから、
ケーキの食べ歩きに付き合え。
男ひとりじゃケーキ屋に入れないだろ。
恥ずかしいから…誰にもいうなよ。」
と、少し怒った顔で魅力的な提案をしてくれたので、
誰にも言わないと約束をし、


薫ちゃんの休みの日や、夜勤明けの日に、約束して
学校の帰りや、休みの日。図書館に行くと言って出かけ、
月に2回、
ケーキ付きの勉強に向かった。



きっとおねーちゃんは甘いものは太るのを気にして食べないから
甘いモノが大好きな薫ちゃんは
私を連れ出すんだろう。

すっかり私はそう信じていた。







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