キミノテノヒラノウエ。
その夜、
薫ちゃんは連絡もよこさないし、帰っても来ない。

緊急の仕事が入ったのかな?

遅くなるのは、珍しい事じゃないけど、
連絡がないっていうのは初めてかもしれない。

どうかしたかな?

なんだか、眠れず、ソファーで、ゴロゴロしていると、

ガタンっとドアが開けられた。

深夜0時を過ぎている。

私が慌てて、玄関に行くと、
酔った薫ちゃんが玄関でフラフラと靴を脱いでいた。

「か、薫ちゃんどおしたの?」と体を支えようと手を出すと、

「…今は俺に触るな。」とアルコールの匂いをさせた薫ちゃんは
下を向いたまま言ったけど、フラリと上半身が傾く。

私が思わず、腕を支えると、

「今は、触るなっていってるだろ。」

「ダメだよ。転んじゃう。」と腕を支えたまま、薫ちゃんを見上げると、

「そんな心配そうな顔で見るな。
俺は今、てまりに触ったら、 きっと無理やり抱きそうだ…。」

と言って、私の手をそっと外して、
廊下の寄りかかるようにズルズル歩いて、リビングの床のラグの上で転がった。

ものすごく酔っ払ってる。
こんなに酔った薫ちゃんは初めてだけど、

態度が変。でしよ。
どうしたの?

…いつもの薫ちゃんじゃない。

私は薫ちゃんの横に座り込んで、

薫ちゃんの手を取った。



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