イケメンなんか大嫌い

『呼び水してあげないと』

朝方、外界の意識が脳内に入り込み、寝ぼけ眼で天井を見上げた。
夢と現の狭間で、何やら梨花の台詞が蘇り、現実世界に呼び戻されたように思える。
身体の上に横たえられた腕の重みを感じ、隣に目線を滑らせると長い睫毛の寝顔があった。

「……」

何だかんだで、また俊弥を泊めてしまった。
わたし達は、一体どういう関係なんだろう……。
僅かに巡らせたものの、今は目の前のスケジュールを優先させなければならず、ひとまず横に置く。

昨夜に比べ緩んだ俊弥の腕をそっと剥がし、布団から這い出て下着と部屋着のロングスウェットを纏った。
ベッドを振り返ると、まだよく眠っている。
この人はこの後どうするつもりなんだろう。泊まって休日を一緒に過ごすつもりで金曜に来たのか、それとももう帰るのか。
どちらにしろわたしは、遅くとも10時頃には此処を出なければいけないんだけれど。

クローゼットの扉を開き、ハンガーに掛けてあるこれから身に付けるはずの服を摘み思案する。
先に俊弥を追い出してから着るのか、向こうへ早めに持って行って着替えるのか。
特に隠す必要もないのだが、気を遣わせるのは心苦しい。

「……今日なんだろ」

背後から突如声が届き、心臓が跳ね上がった。

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