イケメンなんか大嫌い
「おじさんの一周忌」
ゆっくりと振り向くと、上体を起こし瞼を擦っている人と、目が合った。
「……知ってたの」
「……実家行った時に聞いた。いつとは覚えてなかったけど」
「そっか……」
どんな顔をして良いのかわからず、視線を外し気まずく微笑んだ。
布団の中で片膝を立て、頭を掻きながら続けられる。
「もう出ないといけないの? 朝飯食おうと思ってたんだけど」
「……え、此処で?」
「前から入ってみたかった店あってさ。モーニングやってる喫茶店」
「モーニング……」
よくわからないが、衝動的に心弾ませた。
その魅惑的な響きに誘われ、うずうずと気が急いて来る。
大きな瞳の上目遣いが、射抜くように刺さった。
俊弥の提案に食いつくのは悔しかったが、あまり邪険にするのも気が悪い。
「……モーニング行くくらいの時間なら、あるけど」
唇を尖らせつつ拗ねた瞳を合わせると、目を瞬いた顔が僅かに、にやりと楽しそうに微笑んで見せた。
先にシャワーを浴び、俊弥が風呂場に入っている間に喪服に袖を通し身支度を整えた。
化粧をしている姿だとか、まだ生活感を晒すには気恥ずかしく、抵抗がある。
おそらく客観的に見れば大分浸透して来ているであろう空気が、自分ではしっくりと来ないままに戸惑っていた。