イケメンなんか大嫌い
店は革張りのソファがレトロな雰囲気のある、期待を裏切らない絵に描いたような喫茶店だった。
モーニングのメニューに目を通すと、数種類のホットサンドのセットが中心のようだ。
これまた絵に描いたような、白い顎髭のマスターに注文を告げ、おしぼりで手を吹いている向かいに腰掛ける人を盗み見る。
スーツ姿と対面するわたしはブラックフォーマル、そして明るい時間の喫茶店。
モーニングの誘惑に負けて付いて来たのは良いが、急にプライベートに踏み込んだかのような、纏わり付く親密感に怯んだ。
「おー……」
運ばれて来た、サラダの副えられた卵とベーコンのホットサンドが目に飛び込んで来ると、一層テンションが上がり微かに歓声を漏らす。
高揚感を前の人に悟られないよう抑えたつもりだったのに、再び面白そうに薄く笑った顔を視界の端に収めた。
「……」
拗ねて視線を落とし頬を染め、手に掴みかぶりついた。
程良いトースト加減と、卵の半熟具合が美味しい。
眼前の男も、瞼を伏せツナのホットサンドを齧っているが、何をしていても様になるのはどういうわけだろう。
見とれて惚けそうになった自分を、慌てて正気に返した。