イケメンなんか大嫌い
「美味いな」
「……そうだね」
適切な会話がわからずに、相槌だけを打ち再度もくもくとホットサンドを咀嚼する。
店内には他に年配の男性客がひとり居るだけで、絞ったボリュームで流れるジャズっぽい音楽が、耳の奥で小さく反響した。
「何時から?」
「……11時だけど、30分前までには行かなきゃ」
「そうか」
やはり気を遣わせているような空気を感じ取り、掌を広げ笑顔を浮かべる。
「一緒に食べてても気、遣うよね。これから法事なんて」
俊弥の食事の動きが止まり、真っ直ぐな眼差しが言葉を紡いだ。
「……無理に笑わなくて良いけど」
思い掛けない台詞に驚いて目を見張り、開いた掌の力が抜けゆっくりと下ろした。
「……でも、折角一緒に食事するのに、辛気臭いのが前に居たら……」
「別に。同じ空間を共有することに意味あるんじゃねぇの」
淡々と口に出し、コーヒーを啜った。
またしても目頭に熱いものが込み上げて来そうになり、唇を結んだ。
──どうして、こいつなんだろう。
昔、わたしを突き放したはずの奴が今、わたしの心を掴んで離さない。
胸がいっぱいで、その後の食事が安々とは喉を通ってくれなくて、困った。