イケメンなんか大嫌い

わたしですら知らなかった意外な過去に、声を上げて笑ってしまった。
しかし、からかった言葉への返事はなく、代わりに視線を感じ取った。
ゆっくりと横の人へ顔を向けると、穏やかな微笑みを浮かべている。

優しい面立ちが胸を打ったと同時に、お父さんへの想いが込み上げて、目を瞬いた。
視線を彷徨わせ小さく溜息を吐きながら、震える心臓の鼓動を感じ、眉根を寄せた。

「……ありがとう。今日、思い出してくれて。お父さんも、喜んでると思う」

きっと泣き笑いに近い表情になってしまったけれど、俊弥を見つめた。
僅かに瞳に切なそうな色を滲ませた後、手を握ってくれた。

そのまま黙って公園の横を通り過ぎる。
数メートル行った辺りで、俊弥を止めた。

「あの……家この辺だったよね? もう此処で良いよ……」

声に照れが交じったようで、耳が熱を持った気がした。
袋を受け取ろうと手を伸ばすが、それには応えずに前を向いたままで言う。

「送ってく」
「……朝だから平気……」

「俺が、まだ一緒に居たいんだよ」

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