イケメンなんか大嫌い

掌に力が篭もり、頬を赤らめた顔がわたしを見つめていて、目を見開いた。
わたしは恥ずかしいのか嬉しいのか、合わせていられずに前に向き直る。
少し勇気を出して、掌を握り返した。

どうしよう。

好きだ。
また俊弥のこと、好きになった。

地面を踏み締める足の感触まで、全身に意識が張り巡らされているようで、繋いだ手が震えていないか心配だった。
顔を合わせたら何かが溢れてしまいそうで、そっと横顔を盗み見た。

そんな照れた顔、初めて見た気がするよ。ずるいな。

心で繰り返しながら、この幸せな時間がもっと続けば良いのにと、願った。


家から2~3分の場所まで到着したところで、立ち止まる。

「もう、此処で……」
「……誰かに見られたら、困る?」

じっと見下ろされ、固まってしまい動けない。

「……困るっていうか……恥ずかしいから」

繋いでいない方の手の甲で、思わず口元を隠した。

「……それ、癖だな」
「えっ」

「手の甲で口を隠すの」

指摘されたことが恥ずかしく、咄嗟に手を引っ込めた。
その隙に、唇に僅かに触れるだけのキスが落とされる。
ふわりとコーヒーの香りが鼻を抜け、キャラメルの風味と混ざり合った。

「……またな」

逆光で影になった至近距離の顔は、若干頬を染めている。
放心気味のわたしの手に袋を持たせると、去って行ってしまった。

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