イケメンなんか大嫌い
食事を開始すると、瑠実ちゃんが刺身に箸を付けながら楽しそうに声を弾ませ、お母さんの方へ前のめりになった。
「お義姉さん、お義姉さん! 朝、未麻ちゃんの彼氏見ちゃいました!」
……いきなり何を報告してくれてんだー!
「凄いイケメンでしたよ~やるなぁ未麻ちゃん」
顎に手を当て満足気に頷く瑠実ちゃんに呆気に取られつつ、口止めしておかなかったことを後悔していると、お母さんが然程驚くでもなく答えた。
「……あぁ、もしかして俊弥くん?」
「……え゛っ!? 何故それを……!?」
口が半開きのまま、南瓜の煮物に伸ばした箸を硬直させてしまう。
「本当なんだ。あんた、あの素朴な彼氏はどうしたのよ」
「…………別れた……」
気まずく目線を泳がせていると、お母さんが味噌汁を啜りながら表情を綻ばせた。
「実は私、俊弥くんの方が良いなって思って、後押ししちゃった」
「……はっ!? 何それどういうこと!?」
「だって十数年も経ってからひとりで実家まで訪ねて来るなんて、凄い熱意じゃない。まぁ住所教えて、頑張ってねって言っただけよ」
「…………」
その言葉が何とも言えず、わたしの胸を騒がせ跡を残した。
どういうわけか俯いて頬を染めてしまう。