イケメンなんか大嫌い

「ぶつかり合っても良いのよ、素をさらけ出せる相手が一番」

母が穏やかな笑顔を浮かべ、運ばれて来たいかの天ぷらを口に運ぶ。
胸が苦しく、瞼を伏せ手元の箸置きに視線を落とした。

「……俊弥って、あの俊弥?」

聞いていないかと思われた兄が、話に割って入った。

「お前、今あいつと付き合ってんの?」
「……なんか、そういうことになってるね……」

……これまでの話の流れで。
海老を咀嚼しながら、筋肉質の大きな図体を乗り出したお兄から、僅かに体を引く。

「それって、あいつが熱心にアピって来たってこと?」
「……そうなるかなぁ……?」

再会してからの動向を順に頭の中に思い出していると、突如爆弾が落された。

「俊弥ってあいつさぁ……ストーカー入ってねぇか?」

衝撃的な発言に、開いた口が塞がらず固まってしまった。
……そんな、わたしが薄々感じながらも心の奥に封印していた疑問を、さらっと……!
兄が顎に手をあてがいながら、逡巡するように上方へと視線をさまよわせた。

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