イケメンなんか大嫌い

連れて来られた場所は、ショッピングモールの屋上で存在感を放っているドーム型の施設だった。

「……プラネタリウム?」

久方ぶりに触れる雰囲気が物珍しく、天井を仰ぎながら惹き込まれるように中へと歩を進める。
プラネタリウムに訪れたのは、それこそ……。

「小3の時だっけ? 遠足で来たの」
「確かそうだったね……わたしそれ以来かも、来たの」

俊弥の声に振り返ると、同じように天井を見上げていた。

「……昔のこと思い出してたら、あの時やたらはしゃいでたお前が浮かんでさ」
「……そうだっけ?」

すっかり忘れていた幼い自分の話を持ち出され、照れくさかった。

「あれから暫く、夜になるとオリオン座オリオン座って、馬鹿の一つ覚えみたいに」
「……どうせ馬鹿ですよ」

唇を尖らせ横目で見遣ると、楽しそうに口の端を歪めた。
もっとも今でもオリオン座しかわからないから、反論出来ないが。


『……南の空の正面に、綺麗に並んだ3つの明るい星が見つかります。オリオン、というのはギリシャ神話に出てくる狩人の名前です。オリオン座のまわりを囲む4つの星のうち、左上の赤っぽい星はベテルギウス……』

解説を耳に入れながら並んで頭上を見上げ、確かに当時の情景が蘇って来るような心地に浸っていた。
そういえば家族ぐるみでキャンプに行った時とか、一緒に星空を見上げたっけ。

時折肘と肘が触れて、こそばゆい胸の高鳴りを覚えた。
十数年経ってから、こうして共に星座を見つめているなんて不思議だ。
煌めく輝きを視界に収めながら、一緒に過ごせる時間を大切にしたいと、密かに心に留めた。

< 139 / 209 >

この作品をシェア

pagetop