イケメンなんか大嫌い
「そうそう確かこの時、愛唯ちゃんとケーキ作って俊弥くんすごく喜んでたわよねー」
棚の整頓に精を出しつつあるお母さんが、こちらを振り返った。
クリスマスに……? そうだっけ?
「久しぶりに腕奮って胃袋掴んだら~? 来週とか再来週は俊弥くんと過ごすだろうと思って、これでも遠慮して今日呼んだのよー。何か計画立ててるの?」
「……それどころか破局の危機……」
ぼそりと呟くと、心を刺すような痛みが再びずしりと伸し掛かる。
再来週はクリスマスイブだけれど、もう一緒に過ごすなんて夢の話なのかもしれない……。
またも日曜まで実家に泊まり、週明けを迎えた。
定時間際になって“市川さん”から電話が入った。
震えそうな左手を握り、小さく息を吐き出してから受話器に手を掛ける。
『エクスプレスの市川です』
「お世話になっております。どちらのお客様の件でしょう」
ドクドク鳴っている心音は聞こえない振りをして、冷静を装い応じる。
『……今日は、オーダーの話ではないのですが』
切り出された静かな口調に、鼓動が速度を付けた。