イケメンなんか大嫌い
『……突然ですが、担当を外れることになりました。1年3ヶ月、お世話になりました』
思い掛けない台詞に驚き、言葉を失う。
「……えっ……あ……そうなんですか……。こちらこそいつもお世話になって……」
しどろもどろで言葉を繰り出すが、受話器の向こうの反応は読めない。
「……ありがとうございました……。新しい部署でも、ご活躍されて下さい……」
しばし沈黙した後、彼が口を開いた。
『……良かったですね』
紡ぎ出された言葉を心で反芻しながら、PCのディスプレイの一点に視線を注ぎ意味を考えていた。
―きっとわたしは、あんな台詞を吐き捨てられても、まだ終わったわけではないと何処かで侮っていたのだろう。
そんな淡い期待は、打ち砕かれる。
『死ぬ程嫌いな奴と関わらずに済んで』
言い捨てたかと思うと、プツンと通話が切れた。
──えっ……
……何、今の……まるで、今生の別れみたいな……。
左手に持った受話器を見つめ、驚きと共に冷や汗が流れる。
心に纏わり付く不穏な空気に、眉間を寄せ目線を落とした。
冷静さを欠いている自分を感じ取りつつも様々な情動が、波が寄せるように胸に浮かんでは消えて行く。
これで終わり? もう会わない気なの?
会社で何て電話してんのよ……TPOはどうした
わたしが悪いって、わかってたのに
どうしてこんなことに
──キーンコーンカーン……
渦に飲まれそうに思えた瞬間、鳴り響いた終業の鐘の音に心臓が跳ね上がり、現実に引き戻された。